お客様インタビュー|決算・開示アウトソーシングサービス

リンカーズ株式会社
経理部長らが決算直前にまさかの離職―決算・開示アウトソーシングに活路を見出したリンカーズの「属人化」解決策

  • リソース不足
  • 残業削減
  • プロセスの可視化

近年、非財務情報の開示要請の高まりなどにより、決算・開示業務への負荷は年々増しています。そのような中、アウトソーシングを活用して業務の標準化や効率化を進める企業も増えています。プロネクサスが提供する「決算・開示アウトソーシングサービス」を2024年から利用しているリンカーズ株式会社もその1社です。決算直前に経理部長と経理部員1人が離職、アウトソーシングサービスを使って決算・開示対応を乗り越えた当時を振り返りながら、今も継続利用するその理由と効果などを代表取締役経営管理本部長の江頭宏一氏にインタビューしました(写真左が江頭宏一氏、同右が経営管理部の上内千賀子氏)。

企業概要

企業名

リンカーズ株式会社

上場市場

東証グロース市場

決算期

7月

事業内容

情報・通信業(ビジネスマッチングおよびSaaS型マッチングシステム運営)

連結従業員数

112人(2026年1月31日現在)

決算開示業務担当者の人数

2人(2026年1月31日現在)

連結子会社数

1社(2026年1月31日現在)

監査法人

太陽有限責任監査法人

アウトソーシングサービスを導入した3つの決め手

アウトソーシングサービスの導入を決めたきっかけは何でしたか。

江頭氏(以下同様):24年6月に経理部長と経理部員1人が退職し、経理部員2人体制となったため、早急に体制を整える必要がありました。7月決算の当社は翌月には本決算を控えており、決算対応に必要な時間を考えると中途採用は現実的ではありませんでした。そこで、いったんは経理・開示業務の経験がある私が経理部長を兼務し、22年に株式上場した当時の体制に戻すことにしたのです。
久しぶりに兼務してみると、管理が属人化していたため、開示資料の作成に必要な基礎資料の所在が分かりづらいことに気づきました。これを機に、決算・開示業務の体制を見直し、各プロセスの再構築が必要だと感じました。

突然の退職によって、早急な体制再構築が必要になったのですね。

はい。そこで、以前から提案を受けていたアウトソーシングサービスについて検討することにしました。検討にあたっては、もう1社との比較検討を行いましたが、最終的には専門的な知識を有する公認会計士が在籍するプロネクサスグループのディスクロージャー・プロにお願いしました。
決め手は3つあります。1つ目は、当社は以前からプロネクサスと取引があり、開示実務支援システム「PRONEXUS WORKS」の操作にも慣れていたことから、決算・開示業務をワンストップで完結できる安心感があったことです。2つ目は、ディスクロージャー・プロが提供するコントロールシート※を使えば、体制の再構築という課題に対して、担当者や後任が基礎書類を順に確認しながら整理できると考えたことです。3つ目として、四半期ごとに会計基準の変更などの新しい制度について、ディスクロージャー・プロの専門家から解説を受けたうえで議論、相談ができる点(壁打ちができる点)に魅力を感じました。これら3つの点を踏まえて、我々の課題解決に十分に役立ちそうだと判断しました。

コントロールシートとは

作成過程とその進捗を“見える化”し、トレーサビリティ確保と業務効率化を実現するExcelシート。開示書類の各目次項目にどの基礎資料が紐付いているかを“見える化”した設計図のようなもの。

一般的なコントロールシートのイメージ

出所:プロネクサス作成

ありがとうございます。もう1点、御社は24年8月に連結子会社である株式会社リンカーズOI研究所を設立し、連結決算会社へと移行されましたが、この辺りの事情もアウトソーシングサービスを導入する判断材料になりましたか。

25年7月期第1四半期の開示から連結決算の対応が必要になることは早期に把握していました。私個人でも対応は可能でしたが、より効率的に進めるため、開示の専門スキルを持つプロフェッショナルにサポートいただくことを選びました。
個人的には、決算・開示業務にはアウトソーシングサービスがマッチする領域が多くあると考えています。特に、管理部門やバックオフィスなどのコーポレート業務にはアウトソーシングサービスと相性のよい業務がたくさんあると思っています。いわゆる士業(会計士や弁護士など)の専門知識が必要となる場面が多く、社内で対応するよりも、アウトソースした方が効率的だと思います。

意外と低い? アウトソーシングサービス開始までのハードル

アウトソーシングサービスの導入を決めたのち、サービス利用の準備に要した時間はどれくらいでしたか。また、準備で苦労した点などがあれば教えてください。

準備に要した期間はおおむね1カ月くらいかと思いますね。特に準備の段階で苦労した印象はありません。導入を決めたあとは、前年の基礎資料をディスクロージャー・プロへ送り、コントロールシートやヒアリングシートなどあらかじめ用意されたものに対して、現状をそのまま回答し、準備が整い次第、サービス開始だったと思います。これらの準備を進める中で、当社の不足している部分などを丁寧に確認していただいたことで、決算・開示業務に必要な一連のプロセスなどが整理できたと思っています。

退職した経理部長らが主となり開示業務を行う体制だったこともあり、アウトソーシングサービスを利用する前は、開示書類の作成に必要な基礎資料がどこにあるのか探すことに少し時間を要しました。コントロールシートの導入に併せて、基礎資料のファイル管理も整備することができました。仮に異動などで担当が変わったとしても、関係情報を更新すれば「誰が担当しても同じ品質で対応できる」仕組み・体制になったことは大きな成果だと思います。

中途採用の難しさをアウトソーシングサービスでカバー

アウトソーシングサービスを導入した直接的な効果についてはいかがですか。

直接的な効果は明確で、決算短信や有価証券報告書などの開示資料の初稿作成や各種データ入力などの作業が削減でき、しかも迅速かつ正確に対応してもらえるため業務負荷の軽減効果は大きいと感じています。また、1つの開示資料の複数の箇所で記載される数字の整合性なども指摘いただけるのは助かっています。ほかにも、XBRLタグ付け(タクソノミ―のマッピング)作業などを代行してもらえるのは作業効率の改善につながっていると思います。タグ付けは誤りが発生しやすい作業ですが、第三者の専門家の目で品質を担保してもらえるのは安心できます。

アウトソーシングサービスを利用し続けるのか、それとも中途採用で人材を雇うのか、体制面の方針について考えはありますか。

中長期の観点では、決算・開示人材の採用はもちろん検討しています。ただし、連結決算を任せられるなど一定の専門スキルを有する人材の給与は高騰しているのが実情であり、転職エージェントにも手数料を支払う必要があります。仮に雇い入れたとしても、採用後のスキルのミスマッチや短期で転職を繰り返す「ジョブホッパー」の問題などのリスクを考えると、中途採用は慎重に検討したいと考えています。
この点、決算・開示業務の多くはアウトソーシングサービスで代替可能であり、その多くを日常的に専門家からフォローしてもらえているので、今の体制に不自由さは感じていません。業務のクオリティを毎期確保できる「再現性」も高いので、すぐに今の体制を変えようという考えはありません。

「専門家のフォローにより、業務のクオリティを毎期確保できるのがアウトソーシングサービスのメリット」と江頭氏。

このほか、アウトソーシングサービスを利用したことで感じた効果があれば教えてください。

1つはノウハウの可視化だと思います。私だけに限れば、会社法に基づく計算書類の開示や有価証券報告書の提出などに向けて、いつまでに、どの業務を完了させなくてはいけないのか、おおよそ頭の中に入っているのですが、今までは担当者間で目に見える形にまでは具体化されていませんでした。コントロールシートは決算・開示業務全体の流れが可視化されているので、各工程を着実に進めていくことで、必要開示書類が作成されると同時に社内の体制整備にもつながっています。

実はアウトソーシングサービスを導入した当初は、1年間だけサービスを利用し、2年目以降はコントロールシートを使って自分たちで業務を回すことも考えていました。結果としてアウトソーシングサービスの利用を続けている理由には、会計基準の変更などの新しい制度に関する情報共有や分かりやすい解説、最近の開示のトレンドなどを、四半期に一度のキックオフミーティングの場でディスクロージャー・プロの専門家から制度改正などの解説を受けて議論や相談相手になってもらい、決算・開示業務に必要な情報が適時に入手できるということですね。監査法人とのミーティングの前に必要な情報が整理できている状態にあることは重要だと感じています。

経営管理部の上内さんの立場から見て、社内の変化など感じられることがあれば、教えてください。

上内氏:今も話にあったように、アウトソーシングサービスの導入以降、共有されるコントロールシートなどで経理財務の仕事や開示業務の内容が可視化されました。なので、繁忙状況がよく把握できるようになり、どのタイミングで何をサポートすればよいのかが分かるようになりました。現在の様子が分かるので、例えば、経営管理部に関係する資料の作成状況が把握できれば、コミュニケーションも取りやすく、資料のチェックもスムーズにできます。社内での情報共有が円滑になる意義は大きいと感じています。

アウトソーシングサービスの有効利用で経営資源を成長領域へ

効率化で生じたリソースを、今後、どのような分野に振り向けていきたいとお考えですか。

江頭氏:先ほども申し上げたとおり、コーポレート業務はしっかりと仕組み化することでアウトソースできることが多く、その親和性は高いと思っています。
当社はここ数年、これまでのフロー型ビジネスからストック型ビジネスへの転換のため新規プロダクトへの投資を続けてきたことなどもあり、業績が計画通り進んでいない状況が続いています。ですが、業容拡大に向けた営業力の強化のための人材採用を進め、おおむね充足してきました。アウトソーシングサービスを利用することでコーポレート部門の業務の標準化や平準化を進め、それによって確保できた経営資源をより生産性の高い業務や事業成長につながる領域へ振り向けていきたいと考えています。

ディスクロージャー企画業務推進部 調査研究グループ

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